副業・兼業の促進に関するガイドライン〈概要〉
■ 企業の対応
(1)基本的な考え方
・ 副業・兼業を進めるに当たっては、労働者と企業の双方が納得感を持って進めることができるよう、
企業と労働者との間で十分にコミュニケーションをとることが重要である。
・ 使用者及び労働者は、①安全配慮義務、②秘密保持義務、 ③競業避止義務、④誠実義務に留意する必要がある。
・ 就業規則において、原則として労働者は副業・兼業を行うことができること、例外的に上記①~④に支障がある場合には
副業・兼業を禁止又は制限できることとしておくことが考えられる。
(2)労働時間管理
労働者が事業主を異にする複数の事業場で労働する場合には、労働基準法第38条第1項に基づき、
以下により、労働時間を通算して管理することが必要である。
① 労働時間の通算が必要となる場合
・労働者が事業主を異にする複数の事業場において「労働基準法に定められた労働時間規制が適用される労働者」に
該当する場合に、労働時間が通算される。
・事業主、委任、請負など労働時間規制が適用されない場合には、その時間は通算されない。
・法定労働時間、上限規制(単月100時間未満、複数月平均80時間以内)について、労働時間を通算して適用される。
・労働時間を通算して法定労働時間を超える場合には、長時間の時間外労働とならないようにすることが望ましい。
② 副業・兼業の確認
・使用者は、労働者からの申告等により、副業・兼業の有無・内容を確認する。
・使用者は、届出制など副業・兼業の有無・内容を確認するための仕組みを設けておくことが望ましい。
(3)健康管理
・ 使用者は、労働安全衛生法に基づき、健康診断、長時間労働者に対する面接指導、
ストレスチェックやこれらの結果に基づく事後措置等を実施しなければならない。
・ 使用者が労働者の副業・兼業を認めている場合は、健康保持のため自己管理を行うよう指示し、
心身の不調があれば都度相談を 受けることを伝えること、副業・兼業の状況も踏まえ必要に応じ
法律を超える健康確保措置を実施することなど、労使の話し合い等を通じ、 副業・兼業を行う者の
健康確保に資する措置を実施することが適当である。
■ 労働者の対応
・ 労働者は、自社の副業・兼業に関するルールを確認し、そのルールに照らして、
業務内容や就業時間等が適切な副業・兼業を選択する必要がある。
・ 労働者は、副業・兼業による過労によって健康を害したり、業務に支障を来したりすることがないよう、
自ら業務量や進捗状況、 時間や健康状態を管理する必要がある。
・ 他社の業務量、自らの健康の状況等について報告することは、
企業による健康確保措置を実効あるものとする観点から有効であ る。
■ 副業・兼業に関わるその他の制度
(1)労災保険の給付
・ 複数就業者について、非災害発生事業場の賃金額も合算して労災保険給付を算定する。
・ 複数就業者の就業先の業務上の負荷を総合的に評価して労災認定を行う。
・ 副業先への移動時に起こった災害は、通勤災害として労災保険給付の対象となる。
(2)雇用保険
・ 令和4年1月より、65歳以上の労働者本人の申出を起点として、一の雇用関係では被保険者要件を満たさない場合であっても、
二の事業所の労働時間を合算して雇用保険を適用する制度が試行的に開始される。