休業手当について
労働者を休業させるときは、休業手当の支払が必要です。
労働基準法第26条では、「使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者 に、その平均賃金の100分の60以上の手当を支払わなければならない。」と定めており、この規定 により、事業主は会社都合で労働者を休業させる場合 「休業手当」 の支払いが義務付けられてお ります。
◆使用者の責に帰すべき事由による休業とは
一般的には「会社都合」で休ませる場合で、事業主の故意や過失だけでなく、経営上や管理上の 要因に起因するものを含むと解されています。一方、天災事変のような不可抗力によるもの、近年 では東日本大震災や計画停電のような場合は、経営者が最大の努力を尽くしたが企業努力だけでは 回避できないような場合は休業手当の支払い義務は生じないとされています。
◆不可抗力による休業の場合とは
不可抗力による休業と言えるためには、① その原因が事業の外部により発生した事故であるこ と、② 事業主が通常の経営者としての最大の注意を尽くしてもなお避けることができない事故で あること、という要素をいずれも満たす必要があります。
①に該当するものとしては、例えば、新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく緊急事態宣言や 要請などが挙げられます。
②に該当するには、使用者として休業を回避するための具体的努力を最大限尽くしていると言える必要があります。
例えば、
・自宅勤務などの方法により労働者を業務に従事させることが可能な場合において、これを十分に検討しているか
・労働者に他に就かせることができる業務があるにもかかわらず休業させていないかといった事情から、個別具体的に判断されます。
◆平均賃金の計算方法について
【原則】
算定すべき事由の発生した日の前日の直前の賃金締切日から 遡って3か月間にその労働者に対して支払われた賃金の総額を、その期間の総日数(暦日)で割った金額。
3か月間の賃金総額 ÷ 3か月間の暦日 = 平均賃金(銭未満切捨) ①
・算定すべき事由の発生した日
休業手当の場合は、休業日(2日以上の期間にわたる場合は、その最初の日)
・賃金の総額から除外されるもの
⑴ 臨時に支払われた賃金
⑵ 3か月を超える期間ごとに支払われる賃金
⑶ 通貨以外のもので支払われた賃金で一定の範囲に属しないもの
・雇入後3か月に満たない場合
雇入後の期間とその期間中の賃金で計算する
・算定期間から控除する期間及び賃金の総額
⑴ 業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業した期間
⑵ 産前産後の休業期間
⑶ 使用者の責めに帰すべき事由による休業期間
⑷ 育児休業および介護休業期間
⑸ 試みの使用期間
【最低保障額】日給制、時間給制、出来高払制の場合
賃金の総額を労働した日数で割った金額の100分の60
3か月間の賃金総額 ÷ 3か月間の暦日×0.6 = 平均賃金(銭未満切捨) ②
賃金の一部が月給制、週給制の場合
月給・週給部分の総額をその期間の総日数(歴日)で割った金額と、上記②との合算額
3か月間の月給・週給の総額 ÷ 3か月間の暦日+② = 平均賃金(銭未満切捨) ③
【休業手当の計算方法】
①と②(③)を比較して大きい金額×休業日数×0.6=平均賃金(円未満四捨五入)